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2023年5月 演劇情報

2023年5月25日掲載

エウジェニオ・バルバのオンライン講義

Eugenio Barba & Juilia Varley LEZIONE4

長年にわたりラテンアメリカの演劇に深くコミットしてきたヨーロッパの劇団がある。1964年にオスロで創設され、1967年からはデンマークのホルステブロに拠点を置く劇団Odin Teatretである。1966年以降は、正式には「北欧演劇研究所・オディン・シアター」(​​Nordisk Teaterlaboratorium- Odin Teatret) の名前で活動してきた。代表者のEugenio BarbaはISTA(International School of Theatre Anthropology)の創設者でもあり、世界の多地域の身体表現を解析する「演劇人類学」を提唱した演劇人である。この「学校」が実施する実践集会を通じて日本を含めたアジア古典芸能の身体知がラテンアメリカでも知られるようになった。

 

Barbaが「北欧演劇研究所・オディン・シアター」の代表を引退するとのニュースが流れたのは2020年の暮れだった。1936年生まれのBarbaはこの時84歳。しかし、昨2022年の暮れには、BarbaとOdin Teatretが「北欧演劇研究所」と袂を分つという新たな発表があった。「演劇理念の不一致」というのが分離の理由だった。86歳のBarbaと、長年同志でありつづけた俳優仲間たちの一部は新しい道を歩き始めた。

 

2023年5月25日の早朝にBarbaとパートナーのJulia Varleyがインターネット配信でレクチャーをおこなう第4回Lezioneを視聴することができた。1時間のレッスンの中で、能の仮面に言及し、「仮面をつけているときは観客から目が見えない。目が伝えるべき表情は頭の動かし方で伝える」「仮面をつけている時の俳優の身体の動きは、仮面をつけていない時とは異なる」「身体は制約を受けることで表現を創り出す」などの解説を展開していた。これは日本の能楽師をISTAに招いて導き出した身体論である。

 

おそらくイタリアからの配信だったと思われるが、Barba(イタリア出身)とVarley(ロンドン出身イタリア育ち)はスペイン語で話していた。視聴者の多くがスペイン語圏、特にラテンアメリカの演劇人であることを想定しての計らいかもしれない。バルバのラテンアメリカ演劇へのコミットの深さを物語る。

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